クマサカヤドリエガイ 熊坂寄生江貝 [r003124-83413:39]
Height 11mm w/p F++/+ 一部殻皮付き、合弁個体です。
Remarks : 水深150メートル。紀伊半島・潮岬沖の海底から揚がったこの小さなフネガイは、深海の基質に身を委ねて生きる一種です。駿河湾から九州にかけての水深50〜500メートル、砂礫底に分布し、海底世界の一角を占めています。
殻は小型で、左殻が右殻よりもわずかに大きい非対称のつくりです。殻頂は前方へ寄り、前縁は細く絞られます。前背側の角は鋭く突出し、後方は対照的に幅広く展開します。後縁は斜めに断ち落としたような輪郭を描き、全体に引き締まった印象を与えます。
表面には放射肋と同心円肋が交差し、細かな粒状の凹凸が全面を覆います。その質感は、光を受けるたびに微細な陰影を生み、海底での存在感を物語ります。腹縁やや前方には足糸孔が開き、足糸を伸ばして基質に固着する構造を備えています。
属名 Bentharca は、ギリシャ語で「海底」を意味する “benthos” に由来する “Bentho-” と、フネガイ科に広く用いられる接尾辞 “-arca” から成ります。名のとおり、本属は海底生活に適応したフネガイ類です。
種小名 xenophoricola は、他の貝殻を背負うことで知られるクマサカガイ類 Xenophora と、「住むもの」を意味するラテン語 “-cola” を組み合わせたものです。本種はその殻に付着して生活するという特異な生態を持ちます。移動する貝の背を住処とする姿は、深海における共生の一断面を示しています。
小さな殻の内に、海底という環境と他種との関係性が凝縮されています。この標本は、深海生態系の重層的なつながりを静かに語る証人なのです。
🌍 Off Cape Shiono, Kushimoto Town, Wakayama. Dredged 150m deep.May 1993.
View Specimen Images販売価格 price: 500Yen


